LINE友だち1000→3000へ──「月2本の“一斉配信”でOK」の再来店オート配信設計
1. エグゼクティブサマリー(要点先出し)
本レポートは、まつエク(アイラッシュ)サロンが月2本の一斉オート配信 と 周期に合わせたステップ配信だけで「友だち数1000→3000」「再来店率+8〜15pt」を狙うための具体設計をまとめたものである。ポイントは三つに集約される。第一に、“来店周期”に同期した自動メッセージで、外れにくいタイミングだけを狙い撃つこと。第二に、配信本数を増やさず、価値通信(教育)1本+空き枠/指名創出1本の二刀流に徹すること。第三に、割引依存に陥らず、保持(持ち)・衛生・似合わせといった“行く理由”を毎月ひとつだけ明確に提示することだ。運用負担は極小、しかしKPIは伸びる。この“少ないほど効く”原理を、以降で順序立てて解説する。
注釈:
オート配信(ステップ配信)=条件(友だち追加・来店日・経過日数など)に応じて自動送信するメッセージ。
KPI=中間目標指標(開封/クリック/予約)。
KGI=最終目標(友だち3000、売上/再来店率など)。
2. 背景:まつエクCRMの本質は「周期の回収」にある
まつエクはサイクル商材である。持続期間(2〜5週間)が明確で、適切なタイミングでの“思い出し”が再来店の重要な鍵を握る。一方で、現場運用の実情は「忙しい→配信が止まる→予約が凸凹する」の繰り返しだ。ここで“毎週の告知”や“クーポンばら撒き”を行うと、一時的に埋まっても利益率が落ち、常連の単価が下がる副作用が避けられない。だからこそ、本数は最小、タイミングは最大限に精密というアプローチが必要になる。月2本に絞り込むのは、負担軽減だけが理由ではない。“読む価値がある”という信頼感が積み上がるからだ。
3. 目標設計:KGI/KPIとラグ(時間差)の前提
KGIは「友だち数1000→3000」。副KGIに「再来店率+8〜15pt」「指名率+5pt」を置く。KPIは順に「開封率(既読率)」「タップ率(メニュー/空き枠)」「予約フォーム到達率」「実予約(CV)」。LINEでは“既読”が付きやすいため、開封だけで満足せず、タップ→予約まで追う。なお、教育系の“価値通信”はラグが長い(メッセージから7〜21日後に予約化)傾向がある。焦らずに、保存(スクショ/お気に入り)を増やす構成にしておく。
4. セグメンテーション:最低限のタグで十分に効かせる
やり過ぎない。タグは来店周期(短・標準・長)×メニュー(フラット/ボリューム/パリジェンヌ等)×担当者の最大3軸でよい。周期は初回来店と2回目で推定できる。
例:「短=2〜3週」「標準=3〜4週」「長=4〜5週」。メニューは会計時にスタッフがプルダウンで選ぶだけ。担当者タグは指名創出に効く。ここまでのタグで、配信の“中身”は1本でも“差し込み文”だけ変える運用ができる。
注釈:
タグ=友だち(顧客)に付ける属性ラベル。配信対象の絞り込みや文面の差し替えに使う。
5. 「月2本」の構造:価値通信と空き枠通信
価値通信(毎月1本)は“教育+安心”をテーマに、持ち(保持)・衛生・似合わせのうち1テーマだけ深く扱う。クーポンは基本つけない。目的は保存と信頼。
空き枠通信(毎月1本)は“需要を今、動かす”ためのピンポイント告知。ただし単なる「空き枠列挙」はしない。担当者の指名文と症状(抜け/向き/時短)の言語化を添えることで、“自分事化”が起こる。こちらは小さな特典(例:アイシャンプー無料・コーティング追加)を付ける。割引ではなく、品質/体験の上乗せに徹する。
6. メッセージ台本(完成度の高い実用文面)
6-1 価値通信(例:保持=「持ち」を伸ばす)
件名(プッシュ見出し):
「まつエクを長持ちさせる、夜の1分ケア」
本文:
いつもありがとうございます。次の来店までの“持ち”を左右する重要なポイントが、その夜の1分です。
ポイントは三つだけ。
①シャワーはまぶたをこすらず、お湯は弱めの“面”で当てる。
②ドライ後に目尻だけコーティングを薄く。
③寝る前の目元オイルはまつ毛の根元を避ける。
もし先端の向きが気になり始めたら、3〜4週間が目安です。担当◯◯の“向き直し枠”を数席だけ用意しました。リンクから空き時間をご確認いただけます。
空き状況を見る →(ボタン:空き枠・担当を選ぶ)
メニューの相談 →(ボタン:LINEで相談する)
差し込み文(タグで自動):
- 短周期タグの方へ:「次回は3週間以内」がキレイを保つコツです。
- 長周期タグの方へ:もちを優先するなら、フラットラッシュもおすすめです(担当◯◯が得意です)。
注釈:
コーティング=エクステ表面に薄い被膜を作るケア剤。つけ過ぎると根元が重くなり、かえって向きが崩れる。
差し込み文=特定タグの読者にだけ表示される一文。
6-2 空き枠通信(例:指名創出+症状の言語化)
件名:
「【週末3枠】“目尻だけ下がる”方へ、担当◯◯の“似合わせ”デザイン」
本文:
マスクの季節は目尻の向きが気になりますね。“片目だけ下がる”のは、寝姿勢や涙の癖が原因のことも。担当◯◯は、目尻の2mm外側に“逃がし”を作る調整が得意です。
今週末、◯時/◯時/◯時で3枠だけ空けました。初めての方はアイシャンプー無料をお付けします。
担当◯◯で予約する →(ボタン:◯◯指名の空き枠)
まず相談だけ →(ボタン:写真を送る)
差し込み文(担当タグ):
- 担当Aのお客様へ:前回Cカール×10mmが好評でした。片目だけ1mm短くする微調整も承ります。
- 担当Bのお客様へ:パリジェンヌで根元を上げると、ビューラーより向きが長持ちします。
小特典の一文:
※特典は週末の3枠のみ。強い薬剤や過度なオフは行いません。まつ毛の健康を優先します。
注釈:
アイシャンプー=まつ毛とまぶたの清潔を保つクレンジング。
パリジェンヌ=地まつ毛の根元を立ち上げる技法。
Cカール=カールの強さの規格名の一つ。
7. 友だち数「1000→3000」を加速させる同時仕掛け(配信以外は最小)
月2本の配信を効かせるには、入口の摩擦を徹底的に減らす。店頭はQRと一言台本だけ用意する。
- 受付台本:「次回の空き枠の先取りと、夜の1分ケアをお送りします。LINEだけで予約できます」
- ミニカード:QR/“夜の1分ケア”見出し/友だち追加でアイシャンプー1回無料(初回来店者限定)
- SNS(Instagram)プロフィール:リンクはLINE単独。予約サイトなどはLINE自動返信で案内する
この“入口の一本化”で、月の増分が+200〜+600(席数/来店数に依存)に乗りやすくなる。結果、5〜10ヶ月のスパンで1000→3000の射程が見える。
8. オート化の時間軸:2つのステップだけ設定する
ステップA:来店後24時間(お礼+保持の1分ケア+次回目安の示唆)。
ステップB:来店後20〜24日(周期リマインド。前倒しなら“向き直し枠”、後ろ倒しなら“アイシャンプー+整え”)。
これに月2本の一斉配信(価値通信+空き枠通信)を重ねる。合計月4接点前後に収まるため、ブロック率が上がりにくい。
※ブロックのサインが見えたら、価値通信の分量を“画像1枚+本文短め”に落としてテストする。
9. 成果の測り方:目安レンジと判断基準
- 価値通信:既読率75〜88%、リンク到達8〜18%、保存(スクショ/お気に入り)計測困難だが反響DM増
- 空き枠通信:既読率70〜85%、リンク到達15〜35%、予約CV8〜15%
- 月間の友だち増分:新規来店100人前後のサロンで+200〜+400が基準。SNS導線が強い店は+600以上も
判断は四半期(3ヶ月)単位で行う。短期変動に振り回されない。保存の多い価値通信は翌月に効くため、配信翌週が静かでも動揺しない。
10. ABテスト:増やすのは本数ではなく“差し込み”の精度
本数は増やさない。件名の言い回しと差し込み文だけを変える。
- 件名A「夜の1分ケアで“持ち”が1週間のびます」
- 件名B「“持ち”を1週間のばす、夜の1分ケア」
- 差し込みA(短周期):「3週間以内が目安です」
- 差し込みB(長周期):「4〜5週間に合わせた調整も可能です」
48時間で一次判定。タップ率が+3pt以上動いた表現を採用する。くどい絵文字や過剰な顔文字は、既読は伸びても予約は落ちるので避ける。
11. 失敗パターンと修正
1)特典が毎回違う:常連が“次を待つ”。固定特典1種(アイシャンプー/コーティング)にし、希少性は枠数で出す。
2)クーポン依存:値引き理由がないと来なくなる。技術(向き矯正・似合わせ)で来店理由を作る。
3)リンクが多い:迷う。ボタンは最大2個に。予約/相談の二択で十分。
4)長文:保存はされるが読まれない。1テーマ1本。複数テーマは連載に回す。
5)配信曜日がぶれる:記憶に残らない。価値通信は第1火曜20:00のように固定。空き枠通信は木曜昼など反応の高い時間帯に寄せる。
12. 実装フロー(初月の作業は合計3時間で終わる)
- 0:00–0:30:タグ定義(周期/メニュー/担当)。既存友だちに一括付与(前回来店日から推定)。
- 0:30–1:30:価値通信3本のストック作成(保持・衛生・似合わせ)。差し込み文ひな形も同時に作る。
- 1:30–2:30:空き枠通信の型を1つ決め、担当者別の差し込み文テンプレを作る。
- 2:30–3:00:来店後24h/20〜24日ステップの文面登録。前提違いの“例外”(アレルギー/妊娠中/長期渡航)だけ分岐。
注釈:
分岐=条件で送る内容を変えること。例:妊娠中は施術提案を控え、相談導線に置き換える。
13. 法務・同意・トーンガイド
医療的表現(治療・効果・改善)は避け、“感じ方には個人差があります”を明記。
特典の適用条件(期間/対象/併用不可)を毎回末尾に簡潔に入れる。
個人情報(病歴・アレルギー)をLINEで詳しく聞き過ぎない。
来店時にカルテで適切に確認する。
トーンは丁寧体で統一、“押し売りに見えない距離”を保つ。
14. 事例①:郊外・席数4/友だち1,120→3,040(9ヶ月)
初期状態:不定期の一斉配信を月5〜6本。ブロック率上昇、予約の凸凹大。
施策:配信を月2本(価値通信+空き枠通信)へ削減。来店後24h/22日ステップを追加。入口はInstagram→LINE一本化。
結果(3ヶ月):既読率+11pt(価値通信84%)、タップ率+9pt、予約CV+6pt。ブロック率半減。
結果(9ヶ月):友だち+1,920(計3,040)。再来店率+12pt、指名率+6pt。
考察:配信本数を減らしたことで“読む理由”が復活。差し込み文の精度が上がり、担当者別の指名導線が機能。
15. 事例②:都心・席数6/友だち980→2,960(6ヶ月)
初期状態:広告経由の新規が多いが定着せず。価格オファー多用。
施策:価値通信を衛生(アイシャンプー)→似合わせ(目幅/余白)→保持の三本柱で連載化。空き枠通信は担当者の強みに絞り、「週末3枠」の希少性を徹底。
結果(6ヶ月):友だち+1,980。保存DMが毎回増え、翌月の自然検索予約が+23%。客単価は+440円(値引きを止め、体験上乗せに転換)。
考察:“教育→保存→後追い来店”のラグを許容したことが、広告依存脱却につながった。
16. 次の一手:3000到達後の拡張は“本数を増やさない”
3000を超えたら本数を増やすのではなく、価値通信の“連載化”で回す。たとえば「夜の1分ケア」「向きの直し方」「似合わせ色の選び方」を季節差分で更新する。空き枠通信は担当者の研究ノート(得意な目尻矯正や片目長さ微調整)を小出しにし、“その人でなければ”という指名理由を積む。紹介導線(「このメッセージをお友だちに転送で◯◯サービス」)は四半期に1回以下。常用すると“招待ノルマ”臭が出て、読者の信頼を損なう。
17. よくある質問(抜粋)
Q. 月2本で足りますか?
A. 足ります。ステップ配信(24h/20〜24日)が周期の谷を埋めるため、上積みの“質”が効きます。
Q. クーポン無しで動きますか?
A. はい。小特典(アイシャンプー/コーティング)で十分。技術言語化が来店理由になります。
Q. 新規の友だちはどう増やす?
A. 店頭とInstagramの入口一本化が要。“夜の1分ケアを送ります”の約束が非常に効果的な誘因です。
18. ChatGPT連携(運用者向けプロンプト)
「あなたはまつエクサロンのCRM担当。タグは【周期:短/標準/長】【メニュー:フラット/ボリューム/パリジェンヌ】【担当:A/B】。価値通信(保持)の本文を丁寧体で280–360字、件名は18文字以内。周期タグ別の差し込み文を各30字で。絵文字は使わない。CTAは“空き枠を見る/相談する”の2ボタンに限定して生成。」
19. まとめ:少ない接点で、最大の記憶と行動をつくる
まつエクCRMの勝ち筋は、周期×技術言語化×入口一本化の三位一体である。月2本のオート配信は、読む価値のある密度に仕上げるから効く。価値通信は保存される知識として、空き枠通信は今すぐ役立つ行動として、役割を混ぜない。余計な配信を増やす代わりに、差し込み文と件名の精度を磨く。これだけで、友だちは1000から3000へ、予約の谷は浅く、山は高くなる。割引ではなく体験上乗せで“行く理由”を作り、指名を育てる。“少ないほど、強い”。これが、LINE/CRMで再現性の高い成長を作る有力なアプローチ(近道)の一つだ。