【休眠顧客掘り起こし】失客後6ヶ月の「来店再開シナリオ」と自動化ステップ
広告を打っても新規顧客の半分が数ヶ月でいなくなる、常連客のカラーやパーマの持ちが悪くなって来店周期が乱れ、予約が安定しない、といった課題は美容室経営において常に存在する壁です。努力して集客し、丁寧に施術したお客様が離れてしまうのは避けられませんが、失客を「運」に任せず、再来店を自動で促す「仕組み」として整えることは可能です。
特に小規模サロンでは、新規集客にかける時間や費用を、一度来店したお客様を再来店させる仕組みに回すことで、経営の安定につながる可能性が高まります。本記事では、割引に頼らず、失客後の休眠顧客を自然に掘り起こすための「6ヶ月間の自動化シナリオ」を、具体的な配信設計とテンプレートを交えて解説します。お客様の「髪の悩み」に寄り添った関係性を再構築し、予約の波をなくす方法が明確になるはずです。
予約の波をなくす「休眠顧客」掘り起こしの重要性
失客とは、お客様の都合や引っ越しなど、サロン側の問題ではない理由も多く、避けられない自然な現象です。重要なのは、失客をゼロにすることではなく、離れてしまったお客様を「戻す仕組み」を構築できているかという点です。
新規集客コストと再来店コストの比較
新規顧客の集客にかかるコスト(CPA)は、広告費の高騰により年々上昇しています。一方で、すでに一度来店している休眠顧客は、技術や店舗の雰囲気を知っているため、再来店を促すコスト(CPO)は一般的に新規集客の数分の1程度に抑えられる傾向があります。この低コストな「失客対策」を自動化することが、小規模美容室の利益率を大きく左右します。
「6ヶ月」を再来店シナリオのひとつの目安とする理由
美容室の平均的な来店周期は、カットで2〜3ヶ月、カラーやパーマで1.5〜2ヶ月程度です。この周期を2〜3回外してしまうと、お客様は美容室に行くこと自体を習慣から外し、来店周期を完全にリセットして他店での体験へと移行しやすくなります。このリセットされるタイミングの目安として「失客後6ヶ月」を最終ラインと設定し、その間に段階的なアプローチを仕掛けることが有効な方法です。
多くの美容室が陥る「失客対策」の落とし穴と背景
再来店率が安定しない美容室では、休眠顧客へのアプローチが「断片的」かつ「属人化」しているケースが多く見受けられます。
断片的な「キャンペーン」による掘り起こしの限界
休眠顧客を掘り起こす際、多くの美容室が「限定割引」や「〇〇円引き」といったキャンペーンに頼りがちです。これは即効性がある一方で、割引がないと来店しない顧客層を育ててしまうリスクや、常連のお客様との公平性を損ねる問題があります。価格訴求ではなく、技術のアップデートや体験価値、髪の悩みの解決を主軸に置くことが、持続的な再来店を促す鍵となります。
「属人化」した手書きメッセージや電話フォローの負担
熱意のあるスタッフが手書きのDMを送ったり、電話でフォローしたりする方法は、お客様の心に響きやすい側面があります。しかし、この手法はスタッフの稼働状況に大きく依存し、スタッフの入れ替わりや業務多忙によって継続できなくなると、効果も途絶えてしまいます。これが「失客対策の属人化」であり、美容室経営の安定性を阻害する原因となります。
最適な再来店周期を把握できていない原因
CRM(顧客管理システム)や予約台帳のデータはあっても、「お客様の平均来店周期」や「失客顧客のボリュームゾーン」を数値として把握できていないケースも少なくありません。データに基づかず、「なんとなくこの時期に」という感覚で配信すると、お客様にとって最適なメンテナンスのタイミングを逃してしまう可能性もあります。
解決の方向性:来店周期に同期する「自動化シナリオ」の設計
安定した再来店を生み出すには、顧客が髪のメンテナンスを検討するのに最適なタイミングを外さない「自動化されたフォロー仕組み」が必要です。これはCRMとLINEステップ配信を連動させることで実現できます。
CRMとLINEステップ配信を連携させる考え方
CRMには「前回予約日」「前回メニュー」「担当者」「希望スタイル」などの顧客データが蓄積されています。このデータを活用し、「前回カラーをしてから70日経過した顧客」や「縮毛矯正履歴のある顧客」といった条件で自動的にセグメント(分類)し、LINEのステップ配信をスタートさせることで、最適なタイミングでパーソナルなメッセージを届けることが可能になります。
「割引」ではなく「技術のアップデート」や「髪の悩み解決」を軸にする
メッセージの主語を「お客様」の髪の課題解決に置くことが重要です。
たとえば、技術のアップデートであれば「前回は〇〇でしたが、この半年で色持ちを良くする配合技術が導入されました」、季節の提案であれば「紫外線による髪や頭皮の乾燥対策に、専用のケアメニューをご用意しています」、根元のメンテナンスであれば「根元の伸びが気になる頃ではないでしょうか。リタッチ専用メニューは待ち時間を短縮できます」といった内容が考えられます。
割引ではなく、こうした「来店する理由」を明確に伝えることで、顧客は価格ではなく価値で再来店を判断するようになります。
全体像:失客から休眠までの3フェーズアプローチ
休眠顧客へのアプローチは、失客からの経過日数によってメッセージ内容を変えます。6ヶ月間を3つのフェーズに分けて、段階的にアプローチすることが有効です。(一例として、来店周期が60日の美容室を想定します)
失客から30日〜60日後を「フェーズ1」とします。お客様の周期からわずかに遅延している状態であり、カラーの色落ちやトリートメント効果の切れを静かに確認し、小さな価値提供を行うことがこのフェーズの目的です。
90日〜120日後を「フェーズ2」とします。根元の伸びが明確になり、スタイルが崩れ始めている休眠予備軍の状態です。個別メニュー提案や、担当者からの静かな呼びかけで、来店へのきっかけを増やします。
150日〜180日後を「フェーズ3」とし、休眠顧客への最終ラインと位置づけます。サービス全体のアップデート紹介や、イメチェンの提案など、最後の共感メッセージで、再来店を促します。
実践ノウハウ:失客後6ヶ月間の「来店再開シナリオ」設計
ここでは、上記の3フェーズに基づいた具体的なLINEステップ配信の設計を解説します。(仮想事例として、来店周期が60日の美容室を想定します)
フェーズ1:失客直後(30日〜60日後)の「価値提供」ステップ
この段階のお客様は「たまたま忙しかった」「別の用事が入った」など、まだ失客を確定させていない状態です。来店を急かすのではなく、お客様に「自分の髪の状態」を認識させるメッセージを送ります。
メッセージの例(来店30日後)では、「セルフチェック:カラーの色落ち・トリートメント効果の「持続度診断」」といった件名で、前回の施術から約1ヶ月経過したことを伝えます。今、ご自宅で「毛先のパサつき」や「色味の濁り」を感じていたら、トリートメント効果やカラーの定着が切れ始めているサインかもしれません、といった具体的な状態に触れます。この時期に有効なホームケアのワンポイントTipsをまとめ、次回の来店までの参考にしてもらうという流れです。
ポイントは、役立つ情報の中に、再来店の必要性を遠回しに示し、営業色は最小限に抑えることです。
フェーズ2:休眠予備軍(90日〜120日後)への「個別提案」ステップ
この時期のお客様は「行かなきゃと思っているけれど、後回しにしている」状態です。個別データに基づいた提案で、予約への動機付けを強化します。
メッセージの例(来店90日後)では、「担当:〇〇より:〇〇様の髪質に合わせた夏のヘアカラーとリタッチの提案」といった件名で、担当者名と前回施術内容(一例として「赤みを抑えたアッシュ」)を差し込みます。90日経過すると、根元の伸びが3cm以上になり、スタイル全体のバランスが崩れ始める頃です。〇〇様の髪質では、リタッチを放置すると退色がさらに進む可能性があるため、根元専用リタッチメニューのご利用と、色味の再調整をおすすめします、といったように具体的なメンテナンスの必要性を伝えます。
ポイントは、担当者名や前回施術内容を差し込むことで、自動メッセージであってもパーソナルな印象を与え、「属人化」の良い部分を仕組みで実現することです。
フェーズ3:休眠顧客(150日〜180日後)への「最後の共感」ステップ
半年が経過し、別のお店を利用している可能性も考慮します。ここでは「戻ってきてほしい」という気持ちを静かに伝えつつ、美容室の進化を情報として提供します。
メッセージの例(来店180日後)では、「サロン〇〇:この半年で変わったことと、私たちが大切にしたいこと」といった件名で、ご無沙汰していることへの配慮を伝えます。この半年で、私たちはダメージレスな新しい髪質改善メニューを導入し、すべてのスタッフがパーソナルカラー診断技術を習得するなど、お客様の「新しい挑戦」をサポートする改善を行ってまいりました、といった事実を情報として提供します。来店を急かすわけではないが、以前よりも快適な技術と空間で、新しい体験をお試しいただけたら幸いです、と結びます。
ポイントは、「割引」は使わず、「共感」と「情報の提供」に徹することです。来店しない理由を顧客側ではなく、サロン側の「より良い変化」で上書きし、再来店のきっかけを提供します。
効果を高める「少ないほど強い」配信原則
休眠顧客への自動アプローチは、頻度を抑えることでその効果が高まります。上記のように6ヶ月で3〜4本程度に絞り込み、メッセージが届くこと自体に「特別感」を持たせます。これこそが、休眠顧客を再来店させるための「少ないほど強い」配信原則です。
自動化されたメッセージを主軸としつつも、特別な日(誕生日など)や、お客様のSNS投稿を見た際などに、担当者から個別の一言メッセージを手動で送ることで、自動化の冷たさを補完し、関係性を維持する方法もあります。
仕組み化のすすめ:属人化を防ぎ、経営を安定させる選択肢
休眠顧客の掘り起こしに必要なLINEステップ配信やCRMのセグメント設計は、一度構築してしまえばオーナー様やスタッフ様の稼働を必要とせず、半自動的に成果を生み出し続けます。しかし、初期の設計やコンテンツ制作には専門的な知識や時間が必要です。
特に、現場の施術や接客に集中したい美容室オーナー様にとって、こうしたデジタルツールの構築と運用は大きな負担となります。そのため、オーナー様の負担を減らす方法として「自動化」と「代行」という選択肢も有効です。
こうした配信設計や自動化は、外部の代行サービスを活用する方法もあります。『増客くん』では、LINE・ブログ・CRMを一体化した仕組みを構築しており、休眠顧客掘り起こしから新規集客、リピート施策までを一気通貫で代行しています。専門家が設計することで、属人化を防ぎ、オーナー様が現場を離れても機能する「安定した運用基盤」の構築が可能です。
まとめと次の一歩
美容室における休眠顧客の掘り起こしは、新規集客に比べてコストが低く、サロン経営を安定させるための重要な施策の一つです。
失客は自然な現象と受け止め、6ヶ月間の自動化シナリオを構築することで対策できます。CRMとLINEステップ配信を連携させ、お客様の髪のメンテナンス周期に合わせて適切な情報を静かに届けることがポイントとなります。割引に依存せず、技術のアップデートや髪の悩み解決といった「価値」を主語にして再来店を促します。また、配信頻度を抑え、自動化と担当者の個別フォローを組み合わせることで、効率と温かみを両立させることができます。
属人化していた「頑張り」を仕組みに置き換え、サロンの集客・リピート・口コミのサイクルを安定させることは、今後の安定経営への第一歩となります。まずは、ご自身の美容室の「平均来店周期」と「失客顧客のボリュームゾーン」をデータで確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
用語解説
CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)
顧客の氏名、連絡先、来店履歴、購入メニュー、担当者などの情報を一元管理し、顧客との関係性を構築・維持するためのシステムや手法です。美容室においては、来店後のフォローや休眠顧客のセグメントに活用されることが一般的です。
LINEステップ配信(オート配信)
LINE公式アカウントの機能の一つで、友だち追加や来店日などの「特定の条件」や「行動」をトリガー(きっかけ)として、事前に設定したメッセージを指定した期間・順番で自動的に送信する仕組みです。休眠顧客への段階的なアプローチに特に有効な手段です。
失客/休眠顧客
失客は、設定した再来店周期(例:美容室なら4ヶ月)を超えても来店していない顧客を指します。休眠顧客は、失客の中でも特に長期間(例:半年〜1年)来店がない顧客層を指し、再来店を促すためのアプローチが必要な状態にあるお客様です。
CPA/CPO
CPA(Cost Per Acquisition)は、新規顧客を1人獲得するためにかかった広告費用や人件費などの総コストを指します。CPO(Cost Per Order/Opportunity)は、既存顧客(休眠顧客を含む)を再来店させるためにかかった費用を指し、CPAに比べて低く抑えられることが一般的です。