【LTV最大化】施術単価ではなく「年間売上」で顧客を捉える顧客台帳の作り方
広告費用を投じても集客が安定しない、SNS運用に追われて疲弊している、そうした悩みを抱えるサロン経営者は少なくありません。
新規のお客様が増えても、次回予約がなければ利益は不安定なままです。集客に投じるコストを抑え、安定した売上を構築するためには、割引を前提とした集客ではなく、顧客一人ひとりとの「関係性の深さ」に着目した経営、つまりLTV(顧客生涯価値)を最大化する仕組みが必要です。
目の前の施術単価を追うのではなく、来店から退店、そして再来店までのプロセス全体をデータで捉え直し、仕組みによってリピートと口コミを促す。本記事では、小規模サロンでも再現できる、LTV最大化のための顧客台帳の作り方と、その具体的な活用法を解説いたします。
施術単価の限界:なぜサロン経営者は「年間LTV」で顧客を捉えるべきか
サロン経営において、売上を構成する要素はシンプルに「客数×客単価」です。しかし、この二つの数字を追い続けるだけでは、いつまで経っても運用が仕組み化されず、オーナー様ご自身の工数が減ることはありません。
新規集客は費用と労力がかかり、リピート施策は属人化しやすいという課題があります。特にクーポンサイト頼りの集客は、一時的に客数が増えても定着しにくく、価格競争に巻き込まれやすいため、客単価を上げる努力が割引で相殺されてしまうことも起こりがちです。
この『客数×単価』を追い続ける運用に安定感をもたらすためには、視点を変える必要があります。それが『年間LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)』を重要な指標として加えることです。LTVとは、一人の顧客が、サロンとの取引期間にもたらす累計利益を指します。
LTVを最大化するということは、「来店頻度を高める」「来店期間を長く保つ」「単価を少し上げる」という三つの要素をバランスよく、仕組みでコントロールすることを意味しています。
「客数 × 単価」の運用はなぜ不安定になるのか
多くのサロンで集客が不安定になる原因は、運用が「断片的」かつ「属人的」になっていることにあります。
たとえば、Instagramで新規を集め、クーポンで来店を促し、現場で次回予約を頑張って取得するという流れです。この運用は、各プロセスでスタッフの努力やスキルに依存するため、人が変われば成果も変動します。
また、新規来店後のフォローが、忙しい日の手書きメモや個人的なLINEに頼ってしまっているケースも散見されます。本来であれば顧客台帳に記録し、再来店を促すためのデータとして使うべき情報が、担当者個人の頭の中に留まってしまうのです。
その結果、「お客様の適切な来店周期」や「最も喜んでいただけたメニューや会話」がデータとして蓄積されず、再来店を促すためのメッセージも、全体に向けた割引の一斉配信になってしまい、ブロック率の上昇につながるという悪循環が生まれます。
成果の出る顧客台帳とは?LTV最大化のための「CRM視点」の仕組み
LTV最大化を目指す上で、顧客台帳は単なるカルテの延長ではなく、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)を実践するためのコアデータとなります。
成果の出る顧客台帳の基本原則は、「売上に関わる四つの要素」を記録し、その後の自動的なアクションと紐づけることです。このデータがあれば、来店周期が遅れている顧客や、アップセル・クロスセルが見込める顧客に対して、適切なタイミングで適切な情報だけを届けることが可能になります。
【実践ノウハウ】LTVを伸ばす「顧客台帳」の4つの項目設計
LTVを軸に顧客を捉え直すためには、最低限次の四つの項目を、来店ごとにデータとして記録し、いつでも抽出できる状態に整備します。
1. 適切な再来店周期
お客様の髪質、肌質、ライフスタイルから逆算して割り出した「理想的な再来店周期(例:35日、50日)」を記録します。これにより、次回予約がないお客様がその周期を過ぎた瞬間に「フォロー対象」として自動でリストアップされます。
2. 顧客感動のキーワード
施術中やアンケートで得られた「最も喜んでいただけた点」を、担当者目線ではなく顧客の言葉で記録します。「カラーの色持ちが良い」「会話の距離感が絶妙」など、次回来店時やメッセージで言及すべきキーワードとして活用します。
3. アップセル・クロスセル予備軍
今回の施術では見送ったが、「次におすすめしたいメニューやホームケア」を記録します。特に、技術的な必要性や、顧客のライフスタイル改善に繋がる提案を優先します。この情報は、LINEステップ配信のメッセージの文中に自然な形で差し込むためのトリガーとして活用できます。
4. 紹介・口コミ実績
そのお客様が、これまでに口コミ投稿やご紹介をしてくださったかどうかを記録します。この実績があれば、再度の依頼は不要です。まだ実績がない場合は、来店後24時間シナリオや次のメッセージの対象として絞り込みます。
【事例サンプル】来店周期とLINEステップ配信を連動させるCRM活用法
顧客台帳の「適切な再来店周期」の項目が真価を発揮するのが、LINEステップ配信との連動です。手動で一人ひとりにメッセージを送るのではなく、システムが自動でアクションを起こす仕組みを構築します。
仮想事例:まつエクサロン(再来店周期3週間=21日)
- 来店直後(24時間以内): お礼のメッセージと共に「施術後の持ちを良くする小さなTips(例:洗顔時の注意点)」を配信します。このメッセージの中に、返報性を促す「口コミURL」を自然に添えます。
- 来店から14日後(周期の2/3): 「目元の衛生」や「残りの状態に合わせたメイクのコツ」といった価値提供のメッセージを配信します。このタイミングで「そろそろメンテナンス時期ですね」といった通知を一切入れません。あくまで「役に立つ情報」を主軸とします。
- 来店から22日後(周期超過): ここで初めて「フォローメッセージ」が自動配信されます。「お忙しいところ恐れ入ります。ご予約状況を改めてご確認ください」など、控えめなトーンで空き枠情報へのリンクを添えます。
この設計の有効性は、メッセージの「必要な人にだけ届く確率」が向上する点にあります。配信本数を増やすことなく、必要なタイミングを狙い撃ちするため、ブロック率の上昇を防ぎ、リピートの決定打になりやすい傾向があります。
※仕組み化による効果の一例としてご参照ください
LTV最大化を目指す「仕組み化」という選択肢
LTVを最大化し、安定したサロン経営を実現するためには、上記のような「顧客台帳とLINEステップ配信の自動連携」が鍵となります。しかし、小規模サロンのオーナー様や店長様が、日々の施術やスタッフ教育に加え、こうした仕組みをゼロから設計し、運用するのは現実的に大きな負担です。
そこで有効な選択肢の一つが、運用そのものを外部に委託し、仕組み化を代行してもらうことです。代行サービスを活用することで、サロン側は最も重要な「顧客への施術・サービス提供」に注力しながら、裏側でCRMデータに基づくリピートと口コミの導線を自動で回すことが可能になります。
こうした配信設計や自動化は、外部の代行サービスを活用する方法もあります。
『増客くん』では、LINE・ブログ・CRMを一体化した仕組みを構築し、オーナー様が現場を離れても売上が安定する基盤づくりをサポートしています。
まとめと次の一歩
LTV最大化のための顧客台帳の仕組みは、一見すると手間がかかるように見えるかもしれません。しかし、一度「適切な周期」「感動のキーワード」「次のおすすめ」を記録する体制を整え、LINEステップ配信と連動させれば、その後のリピート施策のほとんどを自動化することが可能になります。
- 視点の転換: 施術単価から年間LTV(顧客生涯価値)へ
- データの整備: LTVを伸ばす4つの項目(周期、感動、予備軍、実績)を記録
- 仕組み化: 周期超過の顧客をLINEステップ配信で自動フォロー
運用負荷を減らし、安定した収益基盤を構築するための第一歩として、まずは現在の顧客台帳に「適切な再来店周期」の項目を追加し、データの記録を始めてみてはいかがでしょうか。「仕組み化」がもたらす安定感を、ぜひご自身の店舗で実感してみてください。
用語解説
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)
一人の顧客が、サロンとの取引期間を通じて(初めての来店から、来店しなくなるまでの期間)にもたらす利益の総額を指します。LTVを高めることが、広告費用に依存しない安定経営の鍵となります。
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)
顧客との良好な関係を構築・維持するための経営手法です。ITシステム(顧客台帳、LINE、メールなど)を活用し、顧客データを分析することで、個々の顧客に合わせた最適なアプローチを仕組み化します。
ステップ配信
LINEやメールなどで、友だち追加や来店日などの「特定の条件」をトリガーとして、あらかじめ設定されたシナリオ通りにメッセージを自動で送信する機能です。再来店周期に合わせたフォローを自動化する際に有効です。
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)
KGI(最終目標)を達成するための中間目標として設定する定量的な指標です。例として、LINEの「開封率」「クリック率」「ブロック率」、Instagramの「保存率」「プロフィールアクセス率」などが挙げられます。